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  『おとぎ話のモノクロームイラスト傑作選』(パイ・インターナショナル)が出ました。十九世紀から二十世紀はじめにかけての、モノクロームのさし絵を集めました。二十世紀にはカラーのイラストが一般的になりますが、十九世紀は黒と白、ペンとインクによる線のアートが最も魅力的だった時代です。グラフィック・アートの原点の面白さが純粋にあらわれていて、私が大好きな世界です。
 私はずっと前に『世紀末のイラストレーターたち』(美術出版社 一九七六)を書きました。当時はまだ資料も少なく、私も未熟でしたので、全体を見ることができなかった。いつかこのテーマを、もっと資料をふんだんに使い、イラストをいっぱい入れた本をつくりたいと思いつつ、夢にとどまっていました。
 その夢をようやく実現できました。この本では世紀末だけでなく、十九世紀はじめから二十世紀にいたるイラストレーションを歴史的にたどっています。さし絵という、美術史ではあつかわれなかったジャンルが、世紀末アールヌーヴォーのリヴァイヴァルとともに、一つの歴史として評価されるようになってきました。そのような忘れられ、失われたアートを追いかけてきた私は、『世紀末のイラストレーターたち』をさらに展開したこの本をまとめることができたのは大きな喜びです。以前に調べた時に集めたリルケッツやハウスマンの本を本棚から発掘して、私はしばしばなつかしい時にひたっていました。
 この本は、パイ・インターナショナルのグラフィック・シリーズの柱の一つとなっている、おとぎ話のさし絵の本の一つのまとめとして、その歴史的パースペクティヴを示しています。この本を一つの歴史地図として、他のさし絵の本もめぐっていただきたいと思いました。
 しかし、そのような能書きは別として、ともかくこの時代のさし絵の線のすばらしさ、そのいきいきしたイメージの魔術を旅していただけるでしょう。そして不思議なことに百年以上も前のさし絵がちっとも古くはなくて、今見ても新鮮で面白いと感じられることで、そのような印象は決して私だけのものではないと信じて、この本をつくりました。

次の本の予告

 ひさしぶりに映画論を出します。『映画は千の目を持つ』(七ツ森書房)です。映画との縁はもう切れたかなと思いましたが、またもどってきました。これまで映画について書いた文章をまとめました。十二月はじめに刊行の予定ですが、自分で楽しみです。

近 況

 先日、長野に旅しました。小林一茶のふるさとを訪ねました。野尻湖の近くの柏原で一茶は生まれました。シーズンオフでだれもいない野尻湖の岸辺を歩き、山々の紅葉を眺めました。それから、一茶がよく入りに来た湯田中温泉に行きました。一茶の世話をした湯本旅館に泊まれたことは、いい思い出になりました。
 このごろ、以前の仕事との縁がまた復活したような機会がいくつかありました。昔の自分に再会するような気がして、なつかしく、またちょっと恥ずかしくもあります。私はかつてPR誌の仕事をよくしていました。最も長くつづけたのは『花椿』(資生堂)と『グラフィケーション』(ゼロックス)でした。それぞれ私を育ててくれた編集者がいました。今年、残念ながら『グラフィケーション』は終刊となり、その歴史をふりかえる対談に招かれました。それについては日本経済新聞十月二十八日号(日曜版)に書かせてもらいました。
 ほとんど同時期に『花椿』からひさしぶりに招かれました。『花椿』は電子版になりましたが、あらためて季刊で、紙の雑誌として復活しました。その中で、かつて『花椿』に関わった人たちについてのインタビューの連載記事が組まれています。そこに私も呼ばれて、よき時代の『花椿』をふりかえる話をしました。
 『花椿』も『グラフィケーション』も、一九七〇年代から私に書く場を与えてくれました。しかし二十一世紀に入っていずれもネット化し、私との縁も切れたかに見えました。でも最近また復活し、なつかしい時代がもどってきたようで、ちょっとうれしくなります。

おとぎ話のモノクロームイラスト傑作選

おとぎ話のモノクロームイラスト傑作選


グスタフ・クリムトの世界――女たちの黄金迷宮

グスタフ・クリムトの世界――女たちの黄金迷宮


海賊の文化史様

海賊の文化史

日本の装飾と文様

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世界の幻想耽美

世界の幻想耽美

イギリス 野の花図鑑

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ファンタジーとSF・スチームパンクの世界

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ヨーロッパの図像 花の美術と物語

ヨーロッパの図像 花の美術と物語

秘密結社の世界史~フリーメーソンからトランプまで、その謎と陰謀~

秘密結社の世界史
~フリーメーソンからトランプまで、その謎と陰謀~

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン

ロシアの世紀末――〈銀の時代〉への旅

オリエンタル・ファンタジー:アラビアン・ナイトのおとぎ話ときらめく装飾の世界

ヨーロッパの幻想美術
─世紀末デカダンスとファム・ファタルたち

オリエンタル・ファンタジー:アラビアン・ナイトのおとぎ話ときらめく装飾の世界

オリエンタル・ファンタジー:
アラビアン・ナイトのおとぎ話ときらめく装飾の世界

アルフォンス・ミュシャの世界――2つのおとぎの国への旅

アルフォンス・ミュシャの世界
――2つのおとぎの国への旅

北欧の挿絵とおとぎ話の世界

世界の美しい本

北欧の挿絵とおとぎ話の世界

マティスの切り絵と挿絵の世界

北欧の挿絵とおとぎ話の世界

北欧の挿絵とおとぎ話の世界

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン
未来を夢見るアート

チェコの挿絵とおとぎ話の世界

チェコの挿絵とおとぎ話の世界

世界の雪景色

世界の雪景色

世界陰謀全史

世界陰謀全史


ハリー・クラーク

ハリー・クラーク


魔女の世界史──女神信仰からアニメまで

魔女の世界史 ── 女神信仰からアニメまで

1914年: 100年前から今を考える

1914年: 100年前から今を考える





世紀末の光と闇の魔術師 オーブリー・ビアズリー

世紀末の光と闇の魔術師 オーブリー・ビアズリー

 

ヨーロッパの装飾と文様

ヨーロッパの装飾と文様

 

神話・伝説とおとぎ話-ヨーロッパの図像

神話・伝説とおとぎ話-ヨーロッパの図像

 

万国博覧会の二十世紀

万国博覧会の二十世紀

 

ウィリアム・モリス - クラシカルで美しいパターンとデザイン

ウィリアム・モリス
- クラシカルで美しいパターンとデザイン

 

あいさつ

 海野弘ワールドにようこそ。長いこと、さまざまなテーマを書いてきました。自分がどこを歩いているのかわからなくなる時があるほどです。
 一つの区切りとして、自分の世界を整理し、その見取り図をつくってみることにしました。そこでは、情報の三つの柱を伝えたいと思います。
 一つはこれまでやってきた仕事をたどることです。単行本にまとめられたものを中心に、まだ本に入っていないものについても拾ってみたいと思います。

あいさつタイトル

 二つ目は今やっている仕事についてです。新聞や雑誌の連載など書く仕事だけでなく、講演やインタビュー、座談会、そして取材の旅といった仕事についても触れるつもりです。
 三つ目はこれからどこに向かうかについてです。決まっているだけではなく、長いこと考えてきて、なかなか実現しない企画や、最近ふと思いついたテーマなど、私の夢についても語りたいと思います。
 私の旅してきた世界は私だけのものではなく、多くの先人から贈られたものです。私もまたそれを次の世代に送っていきたいと願っています。そのためにこの小さな窓が役立てばうれしいのですが。

署名

お知らせ

2011年7月29日

 以前に河出書房新社から出した『江戸ふしぎ草子』のシリーズ(全六巻)が今度、平凡社ライブラリーに入ることになりました。秋には第一冊が出る予定です。
 このシリーズは朗読会やラジオでの朗読などで読ませてほしいという依頼をよく受けます。私としても愛着のある作品なので、新しい形で出ることになり、楽しみにしています。

2010年9月16日

『名門大学スキャンダル史:あぶない教授たちの素顔』(平凡社新書)が刊行されました。

近況

この夏は、カイ・ニールセンという挿絵画家について書いていました。アーサー・ラッカムやエドモンド・デュラックと並んで、二十世紀初頭の挿絵の黄金時代をつくったイラストレーターの一人です。ひさしく忘れられていましたが、このところ再発見、再評価されています。その名品集をマール社から出すことになり、解説を書きました。『世紀末のイラストレーターたち』以来の、ひさびさのイラストレーター論なので、とてもうれしい仕事でした。
『ファンタジー文学入門』(ポプラ社)を書いた時、また、ファンタジーのイラストレーションのことを書きたいと思っていたところでした。ニールセンの絵本もかなり集まってきたので、どこかのギャラリーで絵本展をやりたいな、と夢をふくらませています。
東京新聞(2010年9月6日号)に、「古賀春江展」(神奈川県立近代美術館 葉山)について書きました。古賀も一種のファンタジー画家といえるでしょう。
今、書いているのは『おじさん、おばさん論』(幻戯書房)です。ニュートンからジャック・タチの『ぼくの伯父さん』まで、百人以上のおじさん・おばさんが登場します。

2010年8月31日

語りの会 ぼてふり 第六回公演にて、海野弘 作『江戸妖かし草子』より「女目医者」が上演されます。
日時:2010年9月10日(金)
    昼の部:14:30開演
    夜の部:16:30開演
場所:深川江戸資料館・小劇場
入場料:\2,000
問い合わせ:語りの会 ぼてふり事務局 神橋武典
    03-3337-9307
    090-1556-2009
    botefuri@nifty.com

2010年4月21日

『秘密結社の時代 鞍馬天狗で読み解く百年』(河出ブックス)が刊行されました。
巻末に時代をたどるのに便利な年表を入れ、挿絵などもちりばめた楽しい本になっています。

『花に生きる-小原豊雲伝』(平凡社)も5月刊行の予定です。
久生十蘭、大佛次郎、そして小原豊雲と、近代史の人物評伝がつづきました。
よろしくお願いします。

2010年3月12日

以下、書影を追加しました。 『スキャンダルの世界史』
『イリュージョン デザイン:知覚 想像力 空間』
『ジャズ・スタンダード100:名曲で読むアメリカ』
『シャンハイモダン:上海摩登』
『モダン都市文学Ⅰ:モダン東京案内』
『モダン都市文学Ⅵ:機械のメトロポリス』
『音楽の万華鏡②:一九二〇年代の音楽』
『海野弘の街あるき館さがし』
『久生十蘭 『魔都』『十字街』解読』
『現代美術:アール・ヌーヴォーからポストモダンまで』
『崇拝からレイプへ:映画の女性史』
『伝説の風景を旅して』
『秘密結社の日本史』 よろしくお願いします。

2010年2月22日

Websiteをオープンしました。
よろしくお願いします。
雑誌掲載

「旅サライ」(小学館) 2010年2月26日発売

「必ず訪ねたい個人美術館」に書いています。

『小原流挿花』

「日本史の旅人」を連載中。
新刊

ロシアの挿絵とおとぎ話の世界

パイインターナショナル 2012年12月21日刊行

流線の挿絵画家 ジェシー・キング

マール社 2012年10月29日刊行

おとぎ話の古書案内

パイインターナショナル 2012年10月19日刊行

プルーストの浜辺
-「失われた時を求めて」再読

柏書房 2012年7月刊行

二十世紀美術 一九〇〇~二〇一〇

新曜社 2012年7月刊行

スキャンダルの世界史

文藝春秋 2012年5月10日刊行

野の花の本 ボタニカル・アートと花のおとぎ話

パイインターナショナル 2012年4月30日刊行

夢見る挿絵の黄金時代
-フランスのファッション・イラスト

パイインターナショナル 2012年4月30日刊行
新聞掲載

東京新聞(2010年9月6日号)

「古賀春江展」(神奈川県立近代美術館 葉山)についての記事が掲載されました。

朝日新聞 2010年1月24日朝刊

『スキャンダルの世界史』の書評が掲載されました。

日本経済新聞 2010年1月17日朝刊

『スキャンダルの世界史』の書評が掲載されました

日本経済新聞 夕刊

「プロムナード」に、2009年7月~12月まで毎週木曜日にエッセイを連載。
講演

2013年4月13日(土)午後2時

東京六本木の新美術館で、「カリフォルニア文化とデザイン」について話します。→詳しくはこちら

2013年3月16日(土)午後2時

北海道立近代美術館で「魅惑の世紀末 アール・ヌーヴォーの世界」を話します。→詳しくはこちら

2010年1月末

石川県立九谷焼研修所でモダン・デザイン史の講義を予定しています。
構想メモ

構想がまとまってはいないが、書く約束はしているもの~

『志賀直哉と奈良芸術村』
 志賀直哉は1925~1938年まで奈良の高畑に住み、そのまわりに作家や画家が集まり、芸術サロンができていた。そこで奈良<天平>芸術が発見されてゆく。そのアーティスト・コロニー(芸術家村)の物語を書いてみたい。
『斜めに橋を架ける-おじさん、おばさん論』
 日経新聞の「プロムナード」に書いたのだが、文化や知識は、親から子へという直線によって継がれるだけでなく、おじさんやおばさんという斜線によって伝がれることが重要ではないかと思う。おじやおばによる文化の伝達によって、異文化が注入され、豊かになるのだ。文化がそれぞれ孤立している現代において、おじさん・おばさんの役割を再評価したい。

まだ漠然としたアイデアだけで、いつか書いてみたいと思っている企画。
止めどなくあるうちの、いくつか~

『ニューヨーク1950年代』
 1920年代のパリに代わって、戦後のニューヨークは世界の先端となった。ビート文学、抽象表現主義のアート、モダン・ジャズの三本の柱によって、ニューヨークを書きたい。
『プルーストの浜辺』
 『プルーストの部屋』とペアになる本として、プルーストと1900年のノルマンディーの浜辺について書きたい。

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