新しい年がはじまりました。今年はどんな年になるでしょうか。静かで淋しい正月でした。おかげでプルースト論の原稿がはかどりました。
一月十日からは、茨城の笠間と千葉の鴨川に行ってきました。笠間では私が泊まりたいと思っていた古い旅館が昨年の大震災で壊れ、閉じていました。このあたりの被害は大きかったようでした。一方、鴨川は被害はなかったものの、風評被害で観光客が減少したそうです。
笠間では親鸞の跡を、鴨川では日蓮の跡を訪ねました。『小原流挿花』連載の「日本史の旅人」の取材でした。
旅から帰ってくると、『スキャンダルの世界史』を文春文庫に入れる話が来ていました。今年の最初のうれしい話でした。五月の刊行の予定です。
一月七日には『夢見る挿絵の黄金時代-フランスのファッション・イラスト』(ピエ・ブックス)が出ました。『おとぎ話の幻想挿絵』『ジョルジュ・バルビエ』につづく三冊目です。今度のも美しいイラストレーションがふんだんに入っているので、きっと楽しんでいただけるでしょう。
今年は四冊目の『ウイリアム・モリス』をつくりたいと思っています。私が好きなベル・エポックの芸術を次々ととりあげることができるのは、長年の夢だっただけに、うれしいことです。
その他の予定としては、『二十世紀美術史』(新曜社)が進行中です。五月ぐらいには出したいと思います。
今、書いているものとしては、『プルーストの浜辺』(柏書房)があります。ようやく半分過ぎて流れ出したので、二月か三月には書き上げたいと思っています。
出版にとってきびしい時代がつづいていますが、今年が、いい編集者、いい企画に出会える年になりますように祈っています。見通しは明るいような気がします。もっとも、去年もそういっていて、はずれた、といわれるのですが。それでも、よき年に!
海野弘ワールドにようこそ。長いこと、さまざまなテーマを書いてきました。自分がどこを歩いているのかわからなくなる時があるほどです。
一つの区切りとして、自分の世界を整理し、その見取り図をつくってみることにしました。そこでは、情報の三つの柱を伝えたいと思います。
一つはこれまでやってきた仕事をたどることです。単行本にまとめられたものを中心に、まだ本に入っていないものについても拾ってみたいと思います。
二つ目は今やっている仕事についてです。新聞や雑誌の連載など書く仕事だけでなく、講演やインタビュー、座談会、そして取材の旅といった仕事についても触れるつもりです。
三つ目はこれからどこに向かうかについてです。決まっているだけではなく、長いこと考えてきて、なかなか実現しない企画や、最近ふと思いついたテーマなど、私の夢についても語りたいと思います。
私の旅してきた世界は私だけのものではなく、多くの先人から贈られたものです。私もまたそれを次の世代に送っていきたいと願っています。そのためにこの小さな窓が役立てばうれしいのですが。
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以前に河出書房新社から出した『江戸ふしぎ草子』のシリーズ(全六巻)が今度、平凡社ライブラリーに入ることになりました。秋には第一冊が出る予定です。
このシリーズは朗読会やラジオでの朗読などで読ませてほしいという依頼をよく受けます。私としても愛着のある作品なので、新しい形で出ることになり、楽しみにしています。